■ 第17回BunDoku哲学カフェ開催報告

 

テーマ:「あなたにとって、読書とはなにか」
日 時:2015年11月3日(火・祝)18:30~21:30

会 場:レンタルスペースTo-tA(大分市中央町)
参加者:19名

 

BunDoku哲学カフェ、ファシリテーターの志水です。第17回目のBunDoku哲学カフェを開催しました。今回は初参加者合わせて19名の参加者の方々にお集まりいただき、たいへんありがとうございました。

 

今回のテーマは「あなたにとって、読書とはなにか」です。

対話に入っていく前にみなさんが考えるところの読書について問いました。出会い、非日常、世界、心の友、魂の伴走者、小旅行、現実逃避、自分との対話、エネルギーの箱、広がり、文体は人体、呪われている、濃密な暇つぶし、日常のなかにある楽しむもの、ゲーム、癒やし、未知の世界への扉、自分だけの秘密、目から鱗、ないと死ぬ、活字中毒、友だちと会う時間のようなもの、血肉、と様々な表現で読書と私との関係について語っていただきました。

それから読書するようになったきっかけを聞いたところ、読書好きの親の影響や読み聞かせがあったという声が多かったですね。また漫画を読むことは読書のうちに入るのかという問いも出ました。読書に対する没入のあり方は十人十色で、自分があって本があるのではなく、本があってこそ自分があるのだ、その書物が提示する問いを生き続けなければいけなくて現実とのバランスがとれないのだが、みなさんはどうしていますかという問いも出されました。読書は記憶そのもの、血であり骨であるという発言があったように、読書について対話することでみなさん自分と本との関係を遡行している場面が多々見られました。私自身、高校時代の現代国語の先生が教科書を選ぶにあたり、国木田独歩の『画の悲み』が掲載されているからこの教科書を選んだというエピソードを思い出してしまい、小説一篇の重みと世界の重みは等価なんだと、この時から考えるようになったのかもしれないと自分の原点について考えていました。


読書と個人がとりもつ関係はそれぞれに固有であって、統一した読書像を共有するのが難しく、掘り下げて対話することができなかったかなというのが今回の全体的な感想ですが、それはそれで新鮮な発見でもありました。

今回はミハルスさんの「ホントノセカイ」とのコラボ企画ということで初の外部リクエストで開催しました。BunDoku哲学カフェは読書コミュニティが母体としてありつつも、「読書」そのものについて語り合うことがあまりなかったので、良い機会となりました。
参加されたみなさま、運営スタッフのみなさま、ミハルスさま、お疲れさまでした。楽しい会となりました。ありがとうございました。

 

BunDoku哲学カフェは今後も月1回のペースで開催いたします。話すテーマや会場選び、進行方法など趣向を凝らして実りある対話に繋げていきたいと考えています。どうぞ今後ともよろしくお願いします。



〈対話の中で紹介された本(一部)〉


『あおい目のこねこ』(世界傑作童話シリーズ)エゴン・マチーセン
『カラマーゾフの兄弟』(新潮文庫)F・ドストエフスキー
『画の悲み』国木田独歩(青空文庫
『ツァラツストラかく語りき』(河出文庫)F・ニーチェ/佐々木中訳
『徒然草』(角川ソフィア文庫)兼好法師
『それいけズッコケ三人組』(ポプラ社文庫)那須正幹
『ぼくらの七日間戦争』(角川つばさ文庫)宗田理
『バトル・ロワイヤル』(幻冬舎文庫)高見広春
『半落ち』(講談社文庫)横山秀夫
『数の悪魔』(晶文社)H・エンツェンスベルガー
『デミアン』(新潮文庫)H・ヘッセ
『異邦人』(新潮文庫)A・カミュ
『おさるのジョージ』(岩波書店)A・レイ
『ゲド戦記』(岩波書店)アーシュラ・K