■ 出張BunDoku「BunDoku Kids」@ハートフルウェーブ vol.4
日 時:2016年2月28日(日)10:00~12:00
会 場:フリースクール「ハートフルウェーブ」さま
参加者:7名
案内人のAkihisaです。
今回は、市内のフリースクール「ハートフルウェーブ」さまにて、子どもたち向けの出張BunDokuを開催させていただきました!
普段のBunDokuは、参加者ひとりひとりがオススメの本を持ち寄って紹介する「本のプレゼン会」のようなスタイルですが、こちらの出張BunDoku ではハートフルウェーブさまのご希望もあり、課題本を一冊読み込み、学びをシェアするスタイルで行なっています。まさに「読書会」らしい読書会ですね。
今回の課題本は、前回までに引続き「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎;岩波文庫)。今回は第四章を読んで対話を行ないました。
第四章「貧しき友 ~人間であるからには~ 」では、学校を休んだ浦川君の家にコペル君が様子を見に行くところから始まります。まず、後半の「おじさんのノート」は読まずに前半のストーリーだけで参加者から感想を聞くと、
・当時は五日も学校を休んでても先生は何もしないんだ。コペル君がいなかったら誰も何もしないままだったのかな。
・家業の手伝いに学校を休むって当時では普通にあったのかな。
・北見君の誘いを断って行くほどに浦川君と仲が良かったのか、自分で決めたことへの責任感だったのか。
・浦川君が学校で眠ってしまうのは毎朝早くから家業を手伝っていたからなのに言い訳しなかったんだ。
・言葉に出さなくても伝わる真剣さ、あるいは本当は嬉しいのに小声で囁き合う様は中二とは思えない。
・浦川君の妹は、つまり当時の女の子は、(おそらく男女別学の女学校で)礼儀作法を習っていたんだなぁ。
などなど、コペル君と浦川君との関係や、当時の時代背景、さらにコペル君や浦川君の人間性についての感想が聞かれました。そしてもちろん、おじさんの最後の質問「いったい、君たちと浦川君と、どこが一番大きな相違だと思う?」「うちとうちの比較ではなく、浦川君その人と君たちとでは、どんな違いがあるだろう」の答えについても疑問が呈されました。
続いて、おじさんノートを読んでからは、
・「人間であるからには」ということをとても強調しているのはどういうことなんだろう。
・みんなから褒められたり、お金もある人が「偉い人」だと思っていたけど、そういうことじゃないのかもしれない。
・おじさんノートの言葉はいつも自分の首元に鋭く突きつけられる。
・妨げるものがないのだから、努力しなきゃいけない、って思った。
・「浦川君の洋服に油揚のにおいが染み込んでいることは、浦川君の誇りにはなっても、決して恥になることじゃない」ということが強く響いた。
などの感想が聞かれました。
そして、おじさんの最後の質問、コペル君は生産する側と消費する側という区分では消費ばかりしていて何一つ生産していないけれど、「自分では気がつかないうちに、ほかの点で、ある大きなものを、日々生み出している」ということが何を意味しているのかについての話になりました。いくつか、参加者の意見を挙げると、
・消費することで経済の循環に貢献していること
・将来、生産する側になる可能性があるということ
・消費することが生産する人の喜びになると思う
・生きていることそのもの。「この子がいるから」の親の気持ち。
・人間関係をもって生きているということそのものが、関係を持つ誰かにとって意味があること。
などが挙がりました。
私も、現時点では、人間関係、人と繋がって生きているということかなぁと思いました。
あるいは、人間関係をもってコペル君が生きているということとも繋がりますが、コペル君が真っ直ぐな心を持って生きているということは、内村鑑三が言うところの「後世への最大遺物」そのものなのではないかとも思いました。
「…私が考えてみますに人間が後世に遺すことのできる、ソウしてこれは誰にも遺すことのできるところの遺物で、利益ばかりあって害のない遺物がある。それは何であるかならば勇ましい高尚なる生涯であると思います」
「…われわれに後世の人にこれぞというて覚えられるべきものはなにもなくとも、アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います」
(内村鑑三「後世への最大遺物」)
ともあれ、この問いは必ずしも一つの答えを出す必要のある問ではなく、むしろ各々が今後も問い続けていくことに意味があると感じたので、また今後も生産すること、何かを生み出していくこと、その意味について考えていくということで今日は終了となりました。
お集まりいただいた皆さん、楽しい時間をありがとうございました。
来月以降も引続き、コペル君と一緒に生きるということを考えていきたいと思います。
どうぞ今後とも、BunDokuをよろしくお願いいたします!
(大分朝読書コミュニティBunDoku 主宰 堀米 顕久)