■ 出張BunDoku「BunDoku Kids」@ハートフルウェーブ vol.2

 

日 時:2015年12月13日(日)16:00~18:00
会 場:フリースクール「ハートフルウェーブ」さま
参加者:6名

 

案内人のAkihisaです。

今回は、市内のフリースクール「ハートフルウェーブ」さまにて、子どもたち向けの出張BunDokuを開催させていただきました!

 

普段のBunDokuは、参加者ひとりひとりがオススメの本を持ち寄って紹介する「本のプレゼン会」のようなスタイルですが、こちらの出張BunDokuではハートフルウェーブさまのご希望もあり、課題本を一冊読み込み、学びをシェアするスタイルで行なっています。まさに「読書会」らしい読書会ですね。

 

今回の課題本は、前回(「BunDoku Kids!」@ハートフルウェーブ vol.1)に引続き、「君たちはどう生きるか」(吉野源三郎;岩波文庫)。今回は第二章を読んで対話を行ないました。

 

第二章「勇ましき友 ~真実の経験について~」では、コペル君の学校でのいじめ問題と、それに立ち向かう友人の姿が、コペル君とおじさんとの話題になります。まずは、後半の「おじさんのノート」は読まずに前半のストーリーだけで参加者から感想を聞きました。

 

・浦川君はなんでキレないんだろう?

・浦川君の中に悲しみはあっても、憎しみはないの?

・この程度のいじめというかイジりは、今も昔も変わらないよくある話

・山口君を作者が「君」付けせず呼び捨てにしているのは意図的?

 

といった感想から、

 

・コペル君は見てて自分では何もしないんだ

・北見君がいなかったらコペル君はどうしていたんだろう?

 

といったコペル君に対する厳しい意見と(苦笑)、

 

・北見君は頑固なのかな

・北見君の正義感は誰のため?自分のため?

・北見君の中にあるだろう自分のモノサシは善なのか自己中なのかわからない

 

といった、クラス内の問題に憤然と立ち向かった北見君に対する冷静な視点も出されました。

一方で、騒動の現場を抑えた先生が、頭ごなしに生徒を叱りつけるのではなく、

 

「人間同士が、腕力に訴えて争わねばならないことは、そうあるものじゃない。いったい、君たちは何を争ったのだね」

「…いったい、どんなことだったのだ、君がそんな短気なことをしたわけは。まさか、理由なしにしたのじゃないだろう」

 

と生徒の声を辛抱強く聞こうとする姿勢にむしろ感銘を受けた、という感想も聞かれました。

 

続いて、後半の「おじさんのノート」を読みました。

私自身、この第二章の「おじさんのノート」はとても好きです。各章の「おじさんのノート」の中で、おじさんを通して作者が伝えたい人生哲学が散りばめられているのですが、特にこの第二章のノートは、コペル君の学校での話を大きく逸脱して、おじさんのコペル君に伝えたい熱い想いが、つまりは作者が子ども世代に伝えたい想いが、その熱量が、一際込められているように感じます。

 

「人間が集まってこの世の中を作り、その中で一人一人が、それぞれ自分の一生をしょって生きていくということに、どれだけの意味があるのか」

 

「肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、真実心を動かされたことから出発して、その意味を考えてゆくことだと思う。君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマ化してはいけない」

 

「いいことをいいことだとし、悪いことを悪いことだとし、一つ一つ判断をしてゆくときにも、また、君がいいと判断したことをやってゆくときにも、いつでも、君の胸から湧き出て来るいきいきとした感情に貫かれていなくてはいけない」

 

 

何の媒介もなしでは少し話すのが難しいテーマではありますが、やはり間に本を通すことで、対話のハードルが一段下がるように思います。

「おじさんのノート」を読んだあとでは、

 

・人生には聞くだけじゃなく、体験・経験してみないとわからないことがある、というのはこれまでの経験からも何となくわかる気がする

・おじさんは浦川君をよく知らないのにレッテルを貼ってるみたい

・「一人一人が、それぞれ自分の一生をしょって生きてゆく」という表現が響いた

・「心を動かされる」ということが、確かに自分を動かす気がする

・言ってること全部は理解できないけど、第一章のおじさんのノートと重なっている部分もある気もする。何度か読み返したい

 

などの感想が出されました。各々のアンテナに引っかかるポイントはもちろん人それぞれなのですが、参加者一人一人がそれぞれ真剣に考え、真剣に感想を語ってくれたのが印象的でした。

 

本を読んで、あるいはこの会を通して、何かが劇的に変わることはないかもしれません。でも、ほんの少しでも、それぞれの人生というものについて真剣に考える機会になってくれたら、こうして集まって対話をする意味はあるんじゃないかなと思っています。

 

そんなわけで、来年も引続き、楽しくコペル君と一緒に考えていきたいと思います♪

 

来年もどうぞ、BunDokuをよろしくお願いします!

 

(大分朝読書コミュニティBunDoku 主宰 堀米 顕久)

 

 

■ 課題本

 

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

 

(タイトルはAmazonにリンクしています)