■ 第14回BunDoku哲学カフェ開催報告

 

テーマ:「やさしさとは何か?」
日 時:2015年8月23日(日)19:00~21:30

会 場:カモシカ書店さん(大分市中央町)
参加者:19名


BunDoku哲学カフェ、ファシリテーターのシミズです。第14回目のBunDoku哲学カフェを開催しました。今回は初参加者合わせて19名の参加者の方々にお集まりいただき、たいへんありがとうございました。

今回設定したテーマは「やさしさとは何か?」です。
「やさしさ」は女性が男性に求める結婚条件の上位にくるものだったり、人の性格を言い表すのによく使われる言葉なのに、それについて語ることが困難なことが会を進めるにつれて分かってきました。時間が経って分かる優しさもある、弱さが優しさと解されることが多い、見返りを求める優しさは本物の優しさか、女性が男性に求める優しさは自分限定にしてほしい、人間存在そのものが害悪なのに地球に優しいなんてあり得ない、無関心という優しさ、空気を読む優しさ、震災時などの死体を見せない優しさ(海外は見せる)、公共的でユニバーサルデザインのようなさりげなく気付かれない優しさを理想としたいといった、様々な優しさの有り様が語られました。中にはお互いの差異を認め、個々人が毅然とした態度でいることが優しさなのではという考えも出されました。

最後にガンの告知を当人にすることは優しさか、あるいは自分が受けたときに周囲に知らせるのは優しさなのか、黙っていることが優しさなのかを話し合いました。真実を伝えないのは、震災時にメルトダウンを政府が国民に伝えなかったように、相手の能力を認めていない行為だと言う方もいれば、そこを躊躇することそのものが優しさなのではという考えも出されました。
僕は冒頭の自己紹介のときに突拍子も無く、文科省が国立大の人文学系学部の廃止を求めた通知は遺憾だという話をしましたが、感情教育という言葉もあるように、「やさしさ」というものが哲学や文学と深く関わっているという実感があるからです。(理系の人が冷たいとか人文学を学べばやさしい人になれるという話ではありませんよ。念のため。このあたりも語りたいテーマではあります)

いつも以上にもモヤモヤした会となりましたが、テーマにおける語りやすさと考えやすさ、語りにくさと考えにくさについて、多くの得るものがありました。哲学はアポリアと呼ばれる解明困難な問いに向き合う行為のことだと思います。脳に負荷の高い会でしたが、参加されたみなさま、お疲れさまでした。
BunDoku哲学カフェは今後も月1回のペースで開催いたします。話すテーマや会場選び、進行方法など趣向を凝らして実りある対話に繋げていきたいと考えています。次回は3時間バーションに挑戦したいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いします。



■ 参考文献


『これが私の優しさです』谷川俊太郎(集英社文庫)